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メッツェンメチル

ヘタリア・京極堂シリーズ等の無節操な二次創作と、オリジナル。傾向等は最古記事をご覧下さい。
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2024/11/26(Tue)10:52

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唄(独日)

2007/12/29(Sat)16:16

なんだか、とてもつかれた。

自分は何をしてこんなに疲れているのだったか――それすら、わからない。
とても、疲れている。

「ドイツさん?」

誰かの声が聞こえた。
その誰かは「そんなところで寝たら風邪を引きますよ」と、お約束の言葉を言う。

それから毛布を取りに行くような事を呟いて、一旦気配がなくなった。
意識の空白に、ゆっくりと音が流れ込んでくる。

誰かのはなうたのようで。
そのメロディで漸く、それが誰かを理解した。

「……日本」
「! すみません、起こしてしまいましたか」

日本の音楽は、不完全だ。
こちらに不安すら覚えさせる、危うさを持っているようにも思える。
旋律が時折狂ってしまっていて、しかしその狂いこそ予定されていたものらしい。
きっちりと刻まれる自分達の音とはまるで違い、彼のメロディはよくぶれる。

しかしぶれるにも関わらず、芯は酷く強いのだ。


「いや、寝る――良かったら、もうしばらく、唄ってくれ」
「……下手な歌ですけれど」

どうせ上手いかどうかなどわからない。
どちらにしろ自分達の聴きなれた音とは違うのだから。

上手いかどうかなど、わからないけれど――


「好きだ」
「え?」

口をつぐみ、睡眠に身を任せる。
しばらくの沈黙、それから――音。

彼の、彼だけの――旋律だった。

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