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2024/11/26(Tue)10:49
ヘタリア・京極堂シリーズ等の無節操な二次創作と、オリジナル。傾向等は最古記事をご覧下さい。 お気に召しましたらコメント頂けると喜びます。
2024/11/26(Tue)10:49
2007/12/31(Mon)11:11
黒猫は本を読んでいる。
ソファの上に大きな体を寝かせて、本を読んでいる。
私は彼を見つめている。
「教授ー」
「……………」
反応がないのはいつもの事である。
つまらないけれど、余り話しかけると嫌われてしまうかもしれないと思うと、何もいえなかった。
私も本を読んでいる時に、話しかけられるのは嫌だから、よくわかるのだ。
「亜衣ちゃん」
「?」
教授は片手で本を読みながら、もう一方の手で本を差し出してきた。
「面白かったよ」
差し出している本の感想、らしい。割合薄い本だった。
自分が読み終わるまで読んでいるようにという事かとも思ったけれど、教授の持っている本は分厚く、まだまだ最後まで行きそうになかった。
単に、面白かったというだけなのかもしれない。
「ありがと」
お礼を言って受け取って、開いて見る。
不満が言える訳もなくて、一応この本は気遣いなのだろうから、読んでみようと。
それでも集中しているとは言い難く、私は全然良い読者なんかじゃなくて、読み終わるまで随分時間が掛かってしまった。
薄い本だと言うのに、いつもの三倍ぐらいかかったかもしれない。
読み終わって再び、教授の方を向こうとすると――
「亜衣ちゃん」
「わわわわわわわわわわっ」
黒い塊が突然目の前にあって、吃驚した。
「きょ、教授……読み終わったの?」
「うん。丁度同時に読み終われるぐらいの本、渡したからね」
「でも――この本、教授のに比べて、すごく薄いけど」
「僕は名探偵だからね」
教授は不遜に笑ってみせる。
「亜衣ちゃん、集中できなかっただろ。それを予想するぐらい簡たげふっ」
途中で言葉が途切れたのは、私が本で教授を叩いたからだ。
ごめんなさい、本さん。とっても面白かったです。
「何するんだい、亜衣ちゃん」
「集中できないのがわかってるんなら途中で読むのやめてよっ」
「名探偵は物語の最後に登場する――」
「それが?」
「僕は焦らす主義なんだ」
もう一発殴った。
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無題
2010/11/23(Tue)12:45
これからも頑張ってください。
No.1|by カッコ|
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