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メッツェンメチル

ヘタリア・京極堂シリーズ等の無節操な二次創作と、オリジナル。傾向等は最古記事をご覧下さい。
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2024/11/26(Tue)12:53

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瑞リヒ裏

2009/03/01(Sun)22:56

瑞リヒで裏です、ご注意を。
そんなつもりはなかったのに、瑞西さんがむっつり変態くさいぜ……

* * *

「兄さま」

よく休め、と普段通りの台詞の後の事だった。
リヒテンシュタインは、悩ましげに頬を染めて、こちらにそう呼びかけてくる。

「――どうしたリヒテン」
「一緒に寝ては……駄目ですか?」

怖い話でも読んだのだろうか。
別にいいのである、と答えると、リヒテンは更に頬を染めた。
頼むのに、やはり気恥ずかしい物があったのかも知れない。

「すみません、兄さま」
「気にする必要はないのである」

同じベッドに潜り込むと、しばらくの躊躇の後、ぴと、と体を寄せてくるリヒテン。
わずかに狼狽したが、そんな様子は顔には出さない。
出なかった筈だ。
何かと遠慮しがちなこの妹が、こうして甘えてくるのは珍しい事であり――やはり何かあったのかもしれない、と思う。
軽く頭を撫でてやると、びく、と彼女の体が動いた。
それが妙に官能的な物だから――自分の一瞬抱いた不埒な感情を、戒める。

「兄さま」
「どうした?」
「私、兄さまが好きです」
「――そうか」

突然に言われると、中々照れる物だった。
まあ、そんな様子も表に出したつもりはないが、どうだろう、わからない。

「ずっと兄さまといたいです」
「うむ」

やはり――様子が妙なのだった。
まだ言いたい事があるのだろうが、言うのを躊躇している。
そういう感じだった。

「兄さま」
「――言いたい事があれば言っていいのである」
「…………っ」

更に体が密着する。
顔を埋もれさせる様に耳に口を近づけて――その小さな唇で、酷く的な台詞を吐く。


「抱いてほしいです」
「っ!」


今度ばかりは――動揺を隠せた、訳もなく。
勢いで上半身を起こそうとすると――そのまま組み敷かれる形になる。
見上げたリヒテンシュタインの顔は真っ赤であり。
泣いているようにさえ、見えた。

「言っている意味がわかっているのであるか」
「――わかって、ます」
「我輩はそんなつもりでお前を拾ったのでは」
「それも――わかってます」

ごめんなさい兄さま。
言葉には出されていない。
なのにどうしてか、そんな声が聞こえる気すら、した。

「抱いてください――兄さま」

お願いします、兄さまの好きなようにして構いませんから、と懇願する妹。
大き目の寝巻きに包まれた、小柄な肢体、細く白い手足、淡い黄金の髪。
桃色の小さな唇、赤く染まった頬、潤んだ綺麗な瞳。

いや。

自分は何を、考えている。

「……誰にそんな言葉を教わったのかは知らぬが、出来ぬ相談だ」

リヒテンの顔を見ないように――突き放す。
彼女はまだ子供なのだ。
いたいけで、疑いを知らず、純真無垢な。
苦労の中に生きてきた彼女なら、少々面倒を見た程度の男なら――惹かれる事もあるかもしれない。
だが、そんなのは、幻想だ。
淡く、甘い――夢に過ぎない。
狭い世界の偏った価値観しか知らない妹を――利用するのは、余りに外道な振る舞いという物だろう。
今のリヒテンの気持ちに嘘はないのかも知れない。
だが――きっと後悔する日が、来るだろうから。
それは例えば本当に惚れた男が出てきた時にでも。

「兄さま……っ」
「ああ。我輩はお前の兄だ。お前の言っている物は、兄と妹のする行為では、ない」
「っ――」
「もういいであろう。部屋に戻って寝るがいい」

リヒテンは心底泣きそうな顔をして、しかし涙は流さずに――それでも我輩の上から退く事はなかった。
無理にでもどかせようと思った――本当を言えば、自分の意志の固さに自信が持てなかったのである。

ただ、してはいけないとだけ、強く感じた。
それは禁忌に近い、罪だから。

そんな事を考えていたのがよくなかったのだろう。
――重なった唇を、剥す期を逸した。

「っ――ん……」

拙い口付けに――体の芯が蕩けていく。
早く辞めさせなければ――本当に、やばい。

「リヒテン――っ」

兄さま、と耳元に吐息が掛かる。
じわじわと体にまとわりつく熱に――拍車がかかる。
何時の間にこんな艶っぽい声を出せるようになった?
わからない。
今目の前にいるのは本当に妹だろうか?

――それはどうしても女にしか見えない姿で。

刺激を求めて体が疼く。
でも、駄目だ、止めろ。
お前は――リヒテンシュタインの、兄だろう。


そう、思ったのに。


「ぁ……んん……っ」

頭を撫でるように押さえつける。お返しのように舌を入れ替えした。
なぞるように舌を動かす度、びくんと揺れる体を抱きしめる。

「にいさ――、」
「頼む、から」

抵抗してくれ。
嫌がってくれ。
そうしないともう――押さえられない。

妹は――しかし、笑った。

* * *

「ひゃ……ぁんっ……に、さまっ」

小柄な体躯を後ろから抱きとめる。
未発達な胸に指を這わせると、避けるように触れるように体が動いた。
耳を軽く食んでみる――一際大きく、揺れた。

「んっ……ぁあっ……ん!」

背伸びをするように、唇を強く押し付けてくるその姿が、愛しい。
こんな場面だというのに――酷く可愛いと、思ってしまう。
指一本でいとも容易く濡れた声をあげ、体を反応させる妹が。
本当に――可愛いらしかった。


「にいさま……っ」

体がへん、と本当に無垢な体で。
だのに本当に淫猥な表情で――リヒテンシュタインは言う。

体を一旦放し、正面から向き合う。
力が抜けてそのまま後ろに倒れこみそうになるリヒテンを受け止め、ゆっくりとベッドに寝かせた。
首筋にキスをする。
瞬時に緊張した体を抱きしめるようにしながら、首筋から鎖骨へ、鎖骨から胸へとゆっくり舌を這わせる。
シーツを掴んだ小さな手を、包むように握った。

「ぅ……っあ……」

敏感な所に触れる度、声が漏れる。
にいさま、とそれでも合間に呟かれる言葉に――体が熱くなった。


膝と膝が合わさられた細い足を開こうとすると、その時ばかりは少し抵抗がある。
白い頬は今や真っ赤であり、生理的な涙さえ浮んだ顔に下から見つめられた。
どうしてこんなに、可愛いのだろう。

口付けてやり、今度こそ足をゆっくりと開く。

「っや……ぁんっああっ!」

秘所に舌を這わせた――特有の味が舌に絡みつく。
既に濡れていたそこが水音を立てる度、リヒテンの眉がしかめられる。

「っ」

指をゆっくりと挿入する。
一瞬目が見開かれた。
力を抜くように抱きしめて、根元まで挿れこむ。
既に肩で息をしているリヒテンの頭を撫でながら、かき混ぜるように指を動かすと、肢体が痙攣した。


「……い、さまぁ……っ……ん、ぁあっ」

二本、三本と少しずつ準備を進めていく。
その度にびくん、と跳ねる身体。

挿入した指を全て抜くと――かくん、と弛緩した。

「ぅ……んっ……ぁあっ!」

そのまま自身を挿入していく。
細い腕が背中に伸びて、爪が立つ程強く――抱きしめられる。
爪の痕が残るだろうか。
まるでグロテスクさの欠片もなく、聖痕のように美しい、赤い痕が。

「ひゃ……っあっん……にぃ…っま、きもちい……っ」

大きな瞳から涙が零れる。
そう、と拭ってやった。
本当に、どこまで可愛いのだろう――この娘は。

「あっ……あぅ……っんっ」

びくん、と背中を反らしてどうやら達したらしいリヒテンシュタインの後、つられるように自分も果てた。


* * *

「…………っ」

何てことをしてしまったのだ自分は。
おきてから最初に思った事である。
隣ですうすうと可愛らしい寝息を立てているリヒテンシュタインの横で自分は悶絶していた。
夢であれ。
あんな夢を見る自分も既に最低だがせめて夢であれ、と思った。
しかし自分は何故か裸だし自分の寝巻きはリヒテンシュタインが羽織っているしそれは事後に風邪を引かないように着せてやった自分の記憶ともばっちりと一致するし何よりベッドに明らかに跡が残っているし


「…………っ!」

激しく自己嫌悪である。
そんなレベルでは収まらない憂鬱だった。
これでは付近に済んでいる諸々の変態を笑えなかった。
この事態も少しも笑えない。

「最低なのである……」

多分リヒテンシュタインは。
抱かれたいとの言葉も、こんな如何わしい感情から言い出したのではあるまい。
単に自分の事が好きで、その表現方法として言い出したに違いなのだ。
なら自分は、それは愛情の確認方法として行き過ぎである事を教えてやるべきだったのである。

なのにあっさり欲情して襲ってしまった。
流されているといってもいい。

普段散々文句を言っている西洋の変態やら東洋の優柔不断やらに何もいえなくなる事態だった。

「……本当にもう……我輩という奴は……」

呟いた言葉で――リヒテンシュタインの目が――薄く開いた。

「……にいさま……お早うございます……」
「リヒテン……あのであるな、昨晩の事は」
「はい……嬉しかったです」

頭を抱えた。
駄目だ、勘違いしている。

「あの……兄さま、何か勘違いをしてはいませんか?」
「む……?」

いや勘違いをしているのはお前ではないのか。
リヒテンシュタインは微笑んだ。

「私、昨日の行為の意味ぐらい、ちゃんとわかってます」
「っリヒテ、」
「見た目はこうですけど――私はこれでも、兄さまと同じくらいの生きてきたんですよ?」

だから違う所で後悔しないでください、と妹は続けた。

「私を抱いた事を後悔するなら、構いません。でも、私の為に後悔なんて、しないでください」
「っ!」

妹だと思っていた。
子供だと思っていた。
自分が守るべき、そんな存在だと。

なのに、どうして。

微笑む彼女は、昨日と同じで――どう見ても、女で。

「リヒテンシュタイン……」
「はい、兄さま」

こちらの言う事を察したように「好きです」とリヒテンは言う。
自分の顔は確かに熱くなっていて――だからその言葉に返答する事が、しばらく出来なかった。
本当は自分だって、同じ気持ちを返すべきだったと、言うのに。

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