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2024/11/26(Tue)12:41
ヘタリア・京極堂シリーズ等の無節操な二次創作と、オリジナル。傾向等は最古記事をご覧下さい。 お気に召しましたらコメント頂けると喜びます。
2024/11/26(Tue)12:41
2009/03/05(Thu)00:17
「や。はじめまして!」
高らかに爽やかな声が、不愉快である。
同じ声でこの人は私達の大きな家を荒らして、兄さんと戦ってきたのだろうかと思うと。
本当に――不愉快だった。
「…………」
「随分無口なんだな! そんなに見つめてどうしたんだい?」
これは睨んでるんだ、と思ったが何も言わないでおく。
壁際に私を追い詰めるように手を突いたその人の所為で、前に進めなかった。
陰になった顔で――青の瞳だけが爛々と見える。
やはり――気持ち悪い。
「どいて」
「へえ、そんな声なのか!」
「どいてくださいこのうんこ野郎」
「ははは! おとなしそうな顔して中々言うじゃないか! さすがロシアの妹だな!」
中々気の効いた事を言うじゃないか、この外道金髪メタボ男。
そう、私は兄さんの妹。
だから話しかけないで、と切に願う。
「気に入ったぞ!」
私はまるで気に入らない。
「顔も可愛いしな!」
こんな奴に褒められても微塵も嬉しくない。
脳内変換で兄さんに言われた事にしてみようかと思ったが、違いすぎて無理だった。
そもそも兄さんの代わりがこんな奴に務まる訳もないので、当然と言えば当然の話である。
「っ!」
それなのにこの鬼畜眼鏡変態男は。
兄さんでもないくせに私を閉じ込めるように、更に壁に身体を近づけて。
兄さんでもないくせに、私にキスをした。
唇を噛み千切ってやろうとしたらその前に逃げられる。
何だこの抜け目のなさは。
気持ちが悪い。
だから一旦逃げた襟元を掴んで、再び引き戻してやった。
一瞬驚いた顔が愉快で、その唇に噛み付く。
本当、何の比喩でもなく、噛みついた。
噛み千切るつもりだったのだけれど――相手もさる者、今度は抱きしめて行動を阻害してくる。
これは傍目にはいちゃついているように見えるのだろうか、それはとても嫌だ。
吐き気がする。
吐いてかけてやろうかとも思ったが、折角の洋服が汚れるのは癪だった。
「ははは! 本当に面白いな君は!」
血の味がするので、予想通りこの腹の立つ男の唇を切る事は出来たらしい。
この大国に普通にやって敵う訳がないので、抵抗はその辺りからだった。
「よろしく、ベラルーシ!」
兄さんの名前を頂く大切な名前を気安く呼ぶな最低男、と思ったが言わずに、漸く開いたスペースから歩き始める。
何だあれは、嫌がらせだというのだろうか。
No.42|ヘタリア|Comment(0)|Trackback()
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