悲しい時でも、苦しい時でも、一時的でも姑息でも、人に頼らない女の子はかわいいと思う。
そんな感じで米ベラ露七つ目。やっと折り返してる感がある。
* * *
いきなり、体調を崩した。
どうにも、慣れない脂っこくてこってりした食事の連打というのがよろしくなかったらしい。
胃だとか腸だとかが気持ちが悪くなっている。
「大丈夫なのかいベラルーシ!」
少しでも心配してるなら耳元で叫ぶなヒーロー気取り中二病男。
そういう元気すら、なかった。
「ハンバーガー乗せるかい?」
「今脂っこい物を見せないで」
吐きそうになる。
どうしよう俺風邪引かないからちっともわかんないんだよなあと馬鹿丸出しの台詞を言いながらきょどる男。
何だ馬鹿だからひかないんじゃないのか、風邪。
「――放っておいていいです」
なれてるから、と呟く。
大国である腹黒臭いこの男にはなくて当然なのかもしれないが。
小国というのも危ういレベルの自分には、よくある事だった。
「いつもは、どうしてるんだい?」
「このまま」
「このままって、何もしてないじゃないか!」
何もしてないのだ、実際。
一人で、ベッドに入って、治るまで耐えるだけの話だった。
「病院はいいのかい?」
「――貴方の所は、知りませんが」
私の家は、医療費は完全無料制だ。
だからいかない、と言うと怪訝な顔をされる。
「意味が分からないぞ」
「政府も制度も不完全なのに、そんな所だけ唐突に近代化しても意味が、ない」
医者は病院ごとに全員同じような給料で、それも低い場合が多い。
残業手当なんて出ないから、働けば働くほど損をする。
だから、行かない。
どうせ私は国だから。
私がしぬのは、まだ先だから。
そういうと、「ずっとそうしてたのか」と聞こえる。
意識が朦朧として、男の顔さえ見えない。
一体どんな嫌味ったらしい顔で、そんな事を言うのだろうか。
「昔は、家に皆いたから、看病してくれた」
大きな家に皆で住んでいた頃は、そうだった。
その家がなくなったのは、誰の所為だ。
「今は、皆で集まったりもするけど、」
本当に苦しいときには、一人だけで。
そんなの全部、お前の所為じゃないか。
「――さびしい?」
そう呟いた男の顔は、本当に見えない。
ただ、見えないのに何でか。
ぜんしんで、さびしいってさけんでる、みたい。
消える前の意識は、右手を握った暖かさに、集まっていた。
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