かなり久しぶりですね……
プチ連載と銘打ちつつかなり長いのではと不安になる今日この頃です。
* * *
ベラルーシから手紙が来た。
ピンクのヒョウの、彼女にしては派手好みな便箋である。
どうやらアメリカと、遊園地に行ったらしい。
「あら。ベラルーシちゃん楽しそうね」
後ろから覗き込んでいた姉さんが呟いた。
アメリカへの呪詛がかなり詰め込まれている手紙なのだが、暢気な物である。
まあ、楽しそうだというのは概ね同意するけれど。
普段の口数の代わりに、手紙では妙に饒舌なベラルーシだった。
いや、まあ手紙で寡黙にされても困るわけだが。
どんな手紙だ。
「リトアニアくーん! ベラルーシちゃんから手紙来てるわよー!」
「え! ベラルーシちゃんからですか!」
僕の手から姉さんに渡った手紙が、更にリトアニアに渡る。
「へーピンクパンサーだー……こういうのが好きなのかなあ。可愛いなあ」
これはベラルーシの趣味じゃないとは思ったが、黙っておいたほうが面白いので黙っておいた。
多分リトアニアは馬鹿正直にこの情報をプレゼントに応用するだろう。
しかしこの派手な柄はどちらかと言えばあの不愉快な大国好みだ、と思った。
借りたのかもしれない。
勝手に借りたのかもしれない。
「でもリトアニアって本当にマゾだね」
「ええ!?」
リトアニアがベラルーシに抱く感情が、愛情なのか友情なのか家族愛みたいな物なのかは知らないが、どちらにしろあのベラルーシにめげずに付き合うあたり相当だと思った。
姉が後ろでにっこりと笑う。
「ロシアちゃん、そんな事言っちゃ駄目よ」
多少被虐趣味がないとロシアちゃんにここまでついて来れないわよ、とさりげなく酷い台詞である。
「姉さん、僕をなんだと思ってるの……?」
「フォローしてくれる訳じゃあないんですね……」
妙に腹黒い姉だった。
その調子を身内だけじゃなく外交に生かせればいいのに。
「でもロシアちゃん、ベラルーシちゃん楽しそうだけど、体調崩し気味みたいねえ」
「ああ、姉さんもそう思う? アメリカ君は無駄に元気だからね、疲れてるのかもしれないよ」
「な、そんな事書いてましたか!?」
「字、みたらわかるじゃない」
「そうだねえ」
リトアニアが唖然としていた。
別に当然の事だったのだけれど。
「まあ、でも、ロシアちゃんの狙い通りなんでしょ?」
「へ? 何の事ですか?」
「姉さん、その読みの深さ身内以外に応用できたらもっと楽できたのにね……」
そうかも知れない、と涙目で姉が落ち込む。
その隣でリトアニアは首をかしげていた。
本来いるべき妹は、ここにはいない。
だから、僕は、沈黙した。
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