僕は無関心が怖いんだよ、とロシアが言った。
その時自分は確か彼に怯えていて、みっともなくがたがたと震えていたのだ。
よくわからないタイミングではじき出された言葉は、くるくると宙を舞う。
「よく言うよね。無関心と嫌われてるのだったら、嫌われてる方がいいってさ」
僕は正にそのタイプなんだ、と笑われる。
「君はどう思う?」
「僕は――」
僕は嫌われる方が嫌です、と自分は言った。
「嫌われるのは嫌だし、怖がられるのは怖いです。無関心は、確かに寂しいけど――僕の事皆が忘れているのは、寂しいけど」
それでも、優しい言葉があった。笑顔があった。皆がいた。嫌われてなんか、なかった。
「僕は無関心でも、皆の傍にいたい」
「凄いね、カナダ君」
ロシアは惜しみなく、賞賛の言葉と拍手を与えてきた。
暖かい、冬の国には似合わないような笑顔と共に。
「でも僕は君が嫌いだ」
PR