学ヘタで裏な普洪。
少しだけ痛い、かもしれません。
洪さん視点。
それでも良い方は続きからどうぞ。
* * * * *
暗くて。
互いの吐息だとか、衣擦れだとか、温もりだとか――そんな物しか伝わらなくて。
だから私達は、唇を合わせた。
きっと私達は、言葉なんかじゃ愛し合えない。
だから、そんな物は、いらない。
慣れた手つきで、下着が取り去られる。
普段散々反発し合っているくせに、こんな時だけ妙に従順な自分がおかしかった。
それは、相手も同じ事だったけれど。
「っ……」
胸の突起に舌が這わせられた。
くちゅ、と淫猥な音が響く。
少し歯が立てられるたび、奥がずきずきと疼いた。
この男はいつもの切れ長の瞳で、私を見つめているのだろうか。
それは何よりも興奮する感覚で。
「ぁあ……っ……んっ」
「唇、噛むな」
言葉と共に、濃い口付けが振ってくる。
飢えた獣のように縋りつく自分。
舌が絡み合う。侵食しあい。まるでひとつになりたいみたい。
「んっ……ゃ……っあ……あんっ」
筋肉で引き締まった、体に縋りつく。
秘所が優しく撫ぜられた。
頭が蕩けそうになる。
「あ……ぅ……ぁあっ……ん……!」
舌のざらざらした感触が、敏感な所に触れる。
ベッドに縋りついた手を、握り締められた。
ほんと、どうして、体だけはやさしいの。
「挿れるぞ」
ぶっきらぼうな言葉と異物感。
力を抜かないと、そう教えられた。
気持ちよくなんかない。
ただただ、痛い。
本当に。
裂けてしまいそう。
「っん……!」
男の濡れた声が聞こえ――それを覆い隠すように、問われた。
気遣いなど微塵もないような、そんな声色。
「痛いのかよ?」
首を振った。唇は噛み締めたままだ。
そうか、と額にキスをして男は更に侵入してくる。
心の中に侵入された事を考えれば。
体など、どうでもよかった。
「っ!?」
自分の中から――異物感が消えて。
弛緩した身体に、怒号。
「お前っ! 初めて……っ!」
「初めてじゃ、ない、なん、て――言った、かしら?」
お前、とまた男は言いかけて――何も言わなかった。
「ギル」
犯して、とそれは自分が唯一発した愛の言葉だった。
自分たちは身体でしか愛し合えないのだから。
そして自分は紛れもなく、この男に愛してほしいのだから。
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