「おいヴィッヒ! 俺様が来てやったぜ!」
「閉めろオーストリア」
「わかっていますとも」
「おい……気持ちはわかるが可哀相だろう……」
「気持ちはわかるとか言うな!」
「お下品です」
「この周囲であいつが一番煩いのである」
「……それもそうだな」
「ちょっ……納得してんじゃねえ!」
「冗談である」
「お下品なのは本当ですけどね」
「……うるせえこの坊ちゃんが。大体お前ら仲悪ぃんじゃねえのか」
「少なくとも貴方よりは嫌いじゃありません」
「右に同じである」
「…………」
「からかうのもその辺にしてやれ……泣いたらどうするんだ」
「ばっ……泣くわけねえだろうが!」
「オーストリア、お茶を入れてくれ」
「わかっていますとも」
「おい。ヴルストばかりではないか。チーズが食べたいのである」
「チーズならこっちにあったぜ。安い奴だけどな」
「……財政難は何処も同じだ」
「……全くである」
「今日は妹連れてこなかったのか?」
「リヒテンシュタインの事であるか? ……貴様らのような俗物の前に連れて来るわけないのである」
「よし表出ろやあ!」
「永世中立国を舐めるなである!」
「戦ってる時点で中立じゃないんじゃないか……?」
「このお馬鹿さん達が! 少しの間も静かに出来ないのですか。お茶が入りましたよ」
「一応聞いておくが、その『達』の中に俺は含まれていないだろうな」
「お前に馬鹿とか言われたくねえよバーカ」
「貴様らと同類に見られるのは不愉快である」
「ぐだぐだというのならお茶を飲むのをお止めなさい」
「……美味いな」
「うむ。美味い」
「しかし茶とヴルスト一緒にしばくってどう何だよ」
「他に無かったんだから仕方ないだろう」
「上品ではありませんが、このメンツならば別に構わないでしょう」
「どういう意味だ」
「そのままの意味です」
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