「甘ッ!」
「黙ってお飲みなさい」
カップに入れられた液体を口に含んだ瞬間、ドイツは叫んだ。
そのまま吐き出しそうになるのを、オーストリアに止められる。
「お下品です」
「しかしお前……何だこの甘い酒は……」
「……このお馬鹿さんが」
何だそれは。
わからないのなら結構です。
何故かぷんすかしている模様のオーストリアに、ドイツは首をかしげる。
とりあえず原因となった液体を眺めて、もう一度口に含んだ。
「……甘い」
「でしょうね」
はちみつ酒ですから。
はちみつ酒? お前、それは。
何か文句がありますか。
……いや、ない。
ゆっくり、飲み下すように甘ったるい液体で喉を潤す。
それは古代からの、蜜月の名残。
* * * * *
昔の欧では形式的略奪婚が一般的で、一ヶ月間新婚夫婦は二人きりで隠遁生活を送る。
その間にはちみつ酒を飲むそうです、と新たに得た知識から(笑)
略奪婚の方も書きたいなあ。
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