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メッツェンメチル

ヘタリア・京極堂シリーズ等の無節操な二次創作と、オリジナル。傾向等は最古記事をご覧下さい。
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露ベラ露(暗い)(病んでる)

2009/01/12(Mon)01:17

「兄さん」
「兄さん兄さん」
「結婚して兄さん」
「一つになりましょう兄さん」
「愛しているの兄さん」

「兄さん」

妹は自分にそう言ってくれる、ほとんど唯一の存在だった。
だから、本当は、大切に大切に、しなくちゃいけない。
わかってる。
わかってた。

「うるさいよ、ベラ」

愛してくれるから傷つけた。
傍にいてくれるから殴った。
必要としてくれるから――今自分の腕は彼女の細く白い首にある。

「――兄さん」
「気持ち悪いよ、君」

本当に僕が欲しかったものは。

暖かい世界、ヒマワリの咲く世界、平和な世界、皆いいこな世界、自分を受け入れてくれる世界、自分を愛してくれる世界、自分を普通に愛してくれる世界。

彼女の愛情は、普通じゃない。
気持ち悪いぐらいに一直線で、吐き気がする程依存してる。
そんなのが欲しいんじゃない。
もっと、互いに笑いあう小さな幸せ、そんなもの。
冬のように激しくは無く、春のように軽やかな、夏のように爽やかな、秋のように穏やかな。

「君とは笑いあえないし――大体君笑えないしね」

「嬉しい、兄さん」

ベラルーシはこちらが物怖じしそうなほど真直ぐな瞳で、言い切った。

「何、が」
「いつも兄さんは逃げてばかりだから。私を気持ち悪いと思うのは、私の事を考えたからだし、私に直接そう言ってくれるのは、私と向かい合ってるからだわ」

それが、嬉しい。
ベラルーシは言う。

「僕は君を殴るよ」
「喜んで受けるわ」
「僕は君を嫌うよ」
「喜んで愛すわ」
「僕は君を――殺すかもしれない」

「喜んで兄さんのために死にましょう」

気持ち悪いぐらい一直線で。
吐き気のするほど依存してて。
愚直なまでに裏切らなくて。

だから、愛しくて。

「私はロシア、白ロシア」

「兄さんの影、兄さんの光」

「兄さんの妹、兄さんの母」

「兄さんの恋人、兄さんの愛人」

「兄さんの全て、兄さんが全て」

「私はロシア、白ロシア」

「私は――ベラルーシ」



こんな僕を愛してくれて。
こんな僕を必要としてくれて。
だから僕は彼女を愛さなきゃいけなくて。
そんなの関係なく、必要で。

ごめんね、と心の中だけで呟く。
いいわよ、と現実で返事があった。

彼女はロシア、白ロシア。
僕の片割れ、僕の全て。
彼女の名前はベラルーシ。
僕と彼女は――同じもの。

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