殊の外長くなりそうだ……
今回のアメリカは純粋にKYです。
* * *
「やあベラルーシ、よく来たな!」
「拉致しておいてよく言えますねハイテンションKY男」
「君の兄さんの許可は取ったからいいだろ?」
私を扱う為に兄さんの許可を取るのは正しい判断だ。
だけれどこいつに対しては一切の肯定的な言葉を吐きたくはなかった。
どうせ何を言っても聞かないのだから、せめてもの抵抗と言う奴である。
「何をしろと」
「何をって、何だい?」
「炊事洗濯掃除その他諸々の奴隷業務等を押し付けられる覚悟です」
「ははは、別に何もしなくていいぞ!」
夜伽ぐらいまではする覚悟だったのだが。
睨み付けたまま、そういう意味の事を言う。
別に覚悟、と言って改めて決めた訳ではないけれど。
兄さんの提案だから――当然のように、そう思ったまでだ。
「夜伽って何だい?」
「馬鹿にはわかりません」
「じゃあそれお願いしてみようか? そうすればわかるしな!」
こいつ、本気でわかってないのかわかってるからわざと言ってるのかどっちだ。
思いっきりにらみつけてやると、おどけた様に肩を竦められる。
鬱陶しい。
「冗談だぞ! お客さんに何もさせる気はないさ」
「常識持ってたんですか」
「持ってないぞ! 世界の常識は俺だからな!」
なら世界の全ては兄さんだ。
この男とは格が違う。
「まあ――ゆっくりして行ってくれよ」
太陽のように爽やかに、その男は笑った。
うぜえ。
「今日はゆっくりしてさ、明日はどこか遊びに行こう!」
「嫌です」
「連れて行くぞ!」
何だこいつ、滅茶苦茶だ。
死ねばいいのに。
ていうか死ね。
「まずはユニバーサルでどうだい! 買い物がいいかい? それとも観光地でも巡る? 何がしたい?」
「帰りたいです」
「うん、やっぱユニバーサルだな!」
黙ってゴーイングマイウェイストレンジ男の手をとった。
「ん? 握手かい?」
そのまま指を反対方向に曲げようとしたら、曲がらない。
逆に強く手を握り返される。
「…………」
「よろしくな!」
化け物か、この男。
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